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消化器外科

どんな人が胃がんになりやすいですか。
胃がんになりやすい主な要因には、以下のようなものがあります。
  • ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染している人:胃がんの最大の原因で、日本人における胃がんの9割以上に関わっているとされています。幼少期に感染し、何十年も胃に慢性的な炎症が続くことで、がんが発生しやすくなります。
  • 塩分の多い食事が好きな人:塩辛い食べ物、漬物、干物などの摂りすぎは胃の粘膜を直接傷つけ、がん化を促進します。
  • タバコを吸う人:喫煙は胃がんの確実なリスク因子です。
  • 過度の飲酒・野菜や果物の摂取不足
  • 中年以降の年齢(特に男性):年齢とともに胃粘膜の老化や萎縮が進むため、リスクが高くなります。ただし、スキルス胃がんは若い人(特に女性)にも発生することがあります。
親が胃がんでした。その子供は胃がんになりやすいですか。
家族に胃がんがいない人と比べると、リスクはやや高くなります(約1.5〜2倍程度)。
ただし、「がんという病気そのものが遺伝する」ケースはごく一部であり、実際には遺伝以外の理由が大きく関わっています。
  • 「ピロリ菌」を親子で共有している可能性が高い:親世代がピロリ菌に感染していた場合、乳幼児期の口移しや生活環境を通じて、子どもにもピロリ菌がうつっている可能性が高くなります。
    「食習慣(生活環境)」が似ている:同じ家庭で長く暮らしてきたことで、塩分濃度の高い味付けや食習慣が似通うことも影響します。
  • 過度に悲観する必要はありません:「親が胃がん=自分も必ずなる」わけではありません。原因の多くがピロリ菌や生活習慣であるため、適切な検査と予防を行えば、リスクを大幅に下げることができます。
    ピロリ菌の検査を受ける(陽性なら早めに除菌する):一度もピロリ菌の検査をしたことがなければ、まずは感染の有無を調べます。菌がいれば、飲み薬で1週間程度除菌治療を行うことで、将来のがんリスクを大きく減らせます。
40歳を目安に、定期的な胃カメラ(内視鏡)を受ける:症状がなくても、40歳前後から1〜2年に1回程度の胃カメラをおすすめします。早期に発見できれば、お腹を切らずに内視鏡で完治できるケースがほとんどです。
減塩と禁煙を意識する:日頃から薄味を心がけ、タバコを吸う場合は禁煙をすることが大切です。
症状がなくても胃カメラ検査は受けた方がいいですか。
    症状がある方はもちろん、「40歳以上の方」や「ピロリ菌・ご家族の胃がん歴がある方」は、自覚症状がなくても定期的な検査を強くおすすめします。
  • 特に胃カメラをおすすめしたい方:以下のいずれか1つでも当てはまる場合は、一度胃カメラをご検討ください。
    以下のような症状がある方(年齢を問わず早めの受診をおすすめします)
    胃の痛み、胃もたれ、胸やけ、食後のつかえ感がある、食欲がない、理由なく体重が減ってきた、便が黒い、健康診断で貧血を指摘された
    40歳以上で、しばらく検査を受けていない方:40歳を過ぎると胃がんのリスクが徐々に高まります。1〜2年に1回の定期的な検査が理想的です。
  • 胃がんのリスク要因をお持ちの方
    ピロリ菌に感染していると言われたことがある(※除菌後の方も含みます)
    血縁者(ご両親やご兄弟など)に胃がんを経験された方がいる
    喫煙の習慣がある、お酒をよく飲む、濃い味付けが好き
  • 「症状がなくても」胃カメラが必要な理由
    早期の胃がんは、自覚症状がほとんどありません。「痛くないから大丈夫」と思っていても、初期の胃がんは無症状のまま静かに進行することがほとんどです。症状が出てから見つかった場合、進行がんになっているケースも少なくありません。早期に見つかれば「切らずに治せる」病気です。胃カメラでごく早期のうちに発見できれば、お腹を切る手術をせず、内視鏡を使った処置だけで体に負担なく完治を目指すことができます。
ピロリ菌を除菌すれば、もう胃がんにならないですか。
胃がんになるリスクは大幅に減りますが、「ゼロ」にはなりません。除菌後も胃がんが発生する可能性は残るため、「除菌が成功したからもう安心」と放置せず、年に1回〜2年に1回の定期的な胃カメラ検査を続けることが大切です。
  • なぜ除菌後もリスクが「ゼロ」にならない理由:除菌前に進んだ「胃粘膜の傷み(萎縮)」が残るため
    ピロリ菌を退治しても、それまで何十年も菌がいたことで傷んでしまった胃の粘膜(萎縮性胃炎)が、元の健康な状態にすぐ戻るわけではありません。長年受けたダメージから、除菌後数年〜十数年経ってがんが発生することがあります。年齢が高いほど、除菌後の注意が必要です。特に中高齢になってから除菌された方は、すでに胃粘膜の老化や傷みが進んでいることが多いため、除菌後も発がんリスクが一定程度残ります。
  • それでもピロリ菌を除菌する大きなメリット:「ゼロにならないなら除菌しても意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。将来の胃がんリスクを大幅に減らせます
    除菌によって、胃がんになる危険性を約3分の1から半分程度に減らせると報告されています。若いうちに除菌するほど効果的です。胃粘膜の傷みが浅い若年期に除菌するほど、将来のがん予防効果は高くなります。また、胃潰瘍や胃炎の再発を防ぎます。胃炎の進行を食い止め、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発をほぼ抑えることができます。
  • 除菌後の「正しい付き合い方」:「除菌成功」は予防と早期発見のスタートです。ピロリ菌を除菌した上で、1〜2年に1回の胃カメラ検査を定期的に受けていれば、がんが発生しても「内視鏡で切らずに治せるごく初期の段階」で見つけることができます。
胃がんがあるとどんな症状がありますか。
初期の胃がんは「自覚症状がほとんどない」のが最大の特徴です。進行すると胃の痛みや胃もたれ、黒い便などの症状が現れますが、一般的な「胃炎」や「胃潰瘍」と症状だけで区別することはできません。気になる症状が続く場合は、早めの胃カメラ検査をおすすめします。
  • 【最重要】早期の胃がんは「ほぼ無症状」です:胃がんは、初期の段階では痛くもかゆくもありません。「痛くないから大丈夫」「元気だから問題ない」と思っていても、静かに病気が進行していることがあります。そのため、症状が出てから受診するのではなく、症状がないうちから定期的に胃カメラを受けることが何よりも大切です。
  • 見逃してはいけない主な症状:胃がんが進行すると、以下のような症状が現れやすくなります。
    胃やみぞおちの違和感、みぞおちの鈍い痛み、重苦しさ、不快感、お腹の張り・消化不良、食後の胃もたれが続く、少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになる(早期膨満感)、胸やけ、吐き気、げっぷが多い、食べ物のつかえ感、食べ物や飲み物が喉やみぞおちにつかえる感じがする。
    出血によるサイン:黒い便(タールのような真っ黒い便)が出る。立ちくらみ、ふらつき、息切れなど貧血の症状がある
    全身の症状:食欲が落ちてきた、ダイエットをしていないのに、体重が減ってきた
  • 「いつもの胃もたれ」と自己判断しないことが大切です:胃がんの初期〜中期の症状は、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などの良性疾患と非常によく似ています。市販の胃薬を飲むと一時的に症状が和らぐことがありますが、「一時的に良くなった=病気が治った」とは限りません。薬でごまかしているうちに発見が遅れてしまうケースもあります。
胃カメラで胃がんと診断されました。他にどんな検査が必要ですか。
胃カメラ検査によって「胃がんがあること」は確定しましたが、それだけでは最適な治療法(内視鏡で切除できるか、お腹の手術が必要か、お薬の治療が良いかなど)を決定できません。がんの深さや転移の有無(病期・ステージ)、そして全身の状態を正確に調べ、「最適な治療法」を決めるために、CT検査や血液検査などの精密検査を行います。
以下の3つの重要なポイントを確認するために、追加の検査が必要となります。
  • 深さの確認:がんが胃の壁のどの深さまで入り込んでいるか(深達度)
  • 広がりの確認:胃の周りのリンパ節や、ほかの臓器(肝臓・肺・腹膜など)へ転移していないか
  • 全身状態の確認:手術や麻酔、抗がん剤などの治療に耐えられる体力・内臓の働きがあるか
患者様のお体の状態や病変の性質に合わせて、主に以下のような検査を組み合わせて行います。
詳しい胃カメラ検査:早期胃がんであれば、内視鏡切除ができるか判断するために経口内視鏡検査(拡大内視鏡、NBI[波長を変えて微小血管を観察する]、超音波内視鏡など)を行う場合があります。進行胃がんであれば、どこで胃を切ればよいかをクリップでマークすることもあります。化学療法の治療方針を決めるために組織生検(胃がん組織をかじり取る)が必要です。
造影CT検査(胸部〜腹部・骨盤):造影剤を使って全身の断層写真を撮影します。リンパ節の腫れや、肝臓・肺・お腹の中(腹膜)などへの転移がないかを調べる最も基本的な検査です。喘息の方、腎臓が悪い方、造影剤にアレルギーのある方は造影剤を使用することができません。
血液検査(全身状態・腫瘍マーカー):貧血の有無、肝臓や腎臓の機能、栄養状態を調べます。また、がんの目安となる「腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)」も測定します。
全身機能の検査(心電図・胸部レントゲン・呼吸機能検査):心臓や肺の働きを調べ、手術や全身麻酔が安全に行えるかを確認します。
状況に応じて、より詳しく調べるために「PET-CT検査」や「審査腹腔鏡(お腹の中に細いカメラを入れて直接確認する検査)」などが追加される場合もあります。
「胃がんと告げられた上に、たくさんの検査を受けなければならない」と聞くと、強い不安を感じられるかもしれません。しかし、これらの検査は「胃がんの状態を正しく把握し、最善の治療方針を決めるため」の極めて大切で前向きなステップです。検査の流れや結果の意味について疑問や不安がありましたら、いつでも遠慮なく医師や看護師にご相談ください。
胃がんと診断された場合、どんな治療法がありますか。
胃がんの治療法は、大きく分けて「内視鏡治療」「外科手術」「お薬の治療(抗がん剤など)」の3つがあります。がんの進み具合(進行度・ステージ)や体の状態に合わせて、最も効果的で負担の少ない方法を1つ、あるいは組み合わせて選択します。
がんの進行度(ステージ):がんの深さや、リンパ節・ほかの臓器への広がりの有無によって大きく治療方針が異なりますが、主に以下の2つの要素も鑑みて、総合的に考えて決定することになります。
体力・年齢:心臓や腎臓の働き、持病の有無など
ご本人の希望やライフスタイル:生活環境や大切にしたいこと
また、がんと診断されたときから、治療と並行して「痛み」「吐き気」「気持ちのつらさ」などを和らげる緩和ケア(支持療法)をいつでも受けることができます。「もう治療法がないから受けるもの」ではなく、前向きに治療を続けるための大切な支えとなります。
胃がんのために手術を受けることになりました。どんな手術がありますか。
胃がんの手術は、「胃をどのくらい切るか(切除範囲)」と、「お腹をどのように手術するか(傷の大きさ・方法)」の組み合わせで決まります。がんの場所や深さ、全身の状態に合わせて、根治性と体へのやさしさを考慮して最善の方法を選択します。
  • 胃をどれくらい切るか?(がんの場所による違い):胃がんの根治のためには、がん病変だけでなく、がんが転移しやすい「周りのリンパ節」も一緒にきれいに取り除く(リンパ節郭清)必要があります。
    幽門側胃切除術(胃の出口側を切除):胃の下部や真ん中あたりにがんがある場合。胃の約2/3〜3/4を切り取ります。最も多く行われている術式で、胃の一部が残るため、術後の食事量が比較的保たれやすい特徴があります。
    胃全摘術(胃をすべて切除):胃の上部にがんがある場合や、広範囲にがんが広がっている場合。胃をすべて取り除き、食道と小腸を直接つなぎます。胃が完全になくなりので、小腸が少しずつ胃の役割を補うことになります。
    噴門側胃切除術(胃の入口側を切除):胃の入口付近にある早期胃がんなどが対象です。胃の上の部分のみを切り取り、残りの胃と食道をつなぐか、小腸を挙上して食道とつなぎます。
  • どのようなアプローチで手術を行うか?(お腹の傷と方法の違い):以前は開腹手術を行っていましたが、近年は、傷の小さな「低侵襲手術」が標準的な選択肢となっています。低侵襲手術には、腹腔鏡手術とロボット支援下手術があります。いずれのアプローチでも切除範囲など手術の内容は変わりません。
    自分の場合はどの術式になるのか」「ロボットや腹腔鏡手術は受けられるか」など、疑問や不安な点がございましたら、主治医や医療スタッフに遠慮なくお尋ねください。
高齢でも胃がんの手術を受けることができますか。
高齢の胃がんの患者さんは年々増加しています。年齢だけで手術ができないと決まることはありません。80代や90代の方であっても、心臓や肺などの持病がコントロールされており、日常生活を元気に過ごされている方であれば、安全に手術を受けて元気に回復されるケースがたくさんあります。
  • 「実際の年齢」よりも「お体の元気さ」を重視します:高齢者の手術では、実際の年齢よりも日頃の体力や内臓の働き(全身状態)が大切になります。また、ご自身の理解と意思表示やご家族のサポートも重要な要素です。具体的には、以下のような点を総合的に確認して手術が可能か、手術をする意義があるかを慎重に判断します。
    日常生活の自立度:普段お一人で身の回りのこと(歩行、食事、入浴など)ができているか
    持病の状態:心臓病、高血圧、糖尿病、呼吸器の病気(肺気腫など)、腎臓の病気が安定しているか
    栄養状態や筋力:急激な体重減少や、筋力の著しい衰え(フレイル・サルコペニア)がないか
    認知機能やご家族のサポート:術後のリハビリや退院後の生活にどのような支援が必要か
  • 高齢の方でも安全に手術を受けやすくなっている理由:医療の進歩により、ひと昔前と比べて高齢者の手術リスクは大幅に低くなっています。傷が小さく負担の少ない手術(腹腔鏡・ロボット手術)が普及し、術後の痛みが少なく、翌日からの早期歩行や早期退院が可能になっています。高齢者に配慮した安全な麻酔・術後管理も進歩しています。心臓や血圧への負担を最小限に抑える麻酔技術や、術後の肺炎・せん妄(一時的な混乱)を予防するノウハウが確立されています。チーム医療による手厚いサポートも大切です。医師だけでなく、看護師、理学療法士(リハビリ)、管理栄養士、薬剤師などがチームを組み、手術前から筋力維持や栄養強化をサポートします。
  • 手術を受けるか迷ったときの選択肢:「手術を乗り切る体力が心配」「術後に寝たきりにならないか不安」という場合は、無理に大きな手術を勧めることはありません。患者様の価値観やご家族の意向に合わせ、最も納得のいく治療方針を一緒に考えていきます。
    胃をなるべく残す「縮小手術」を検討する。
お腹を切らない「内視鏡治療」で対応できないか再検討する。
手術を行わず、「お薬による治療」や「症状を和らげるケア(緩和ケア)」で生活の質を保つ
胃がんの手術後に退院までに注意すべき合併症について教えてください。
手術直後〜入院中に注意する「外科的な合併症」と、退院後の日常生活で付き合っていく「胃が小さくなったことによる体の変化(後遺症)」があります。
多くの合併症は予防策や治療法が確立されており、医師や看護師、リハビリスタッフが連携して早期発見・早期対応に努めています。

入院中に注意する合併症(手術直後〜数日・数週間)は、手術の影響やお腹の傷が治る過程で起こりうるトラブルです。
  • 縫合不全(つなぎ目のゆるみ):胃を切除して腸とつなぎ合わせた部分がうまくふさがらず、消化液が外に漏れてしまう状態です。絶食や点滴、お腹に入れたチューブからの洗浄などで治癒を待ちます。
  • 膵液瘻(すいえきろう):胃の周りにあるリンパ節を取り除く際、近くの膵臓(すいぞう)から消化液がにじみ出て炎症を起こすことがあります。
  • 出血:手術前から貧血があったり、手術中に出血がみられた場合には輸血することがありますので、必ず前もって輸血の準備はしておきます。お腹の中で手術後に出血することがまれにあります。
  • 膿瘍や感染:傷口の感染(化膿)が起こることがあります。また、縫合不全や膵液瘻の後にお腹の中に膿瘍(うみ)がたまることがあります。
  • 腸閉塞(イレウス):手術の影響で腸の動きが一時的に鈍くなったり、腸同士がくっついたりして、食べ物やガスが通りにくくなる状態です。術後の早期離床(早めに歩くこと)が最大の予防になります。
  • 肺炎・無気肺(特にご高齢の方):術後、傷の痛みで呼吸が浅くなったり、痰(たん)をうまく出せなかったりすると肺炎を起こしやすくなります。深呼吸や吸入、リハビリで予防します。
  • 肺梗塞・深部静脈血栓症:術後にベッドで寝たまま過ごしていると、下肢の静脈に血栓が生じ、それが肺の血管に詰まってしまうことがあり、非常に怖い合併症で、エコノミークラス症候群と同じ病態です。痛みを抑えるお薬をしっかり使いながら、手術翌日から少しずつ体を動かします。これにより、肺炎や腸閉塞、血栓(エコノミークラス症候群)を大幅に防ぐことができます。
胃切除後の後遺症について教えてください。
胃を小さくしたり無くしたりしたことで、食べ物の消化・吸収の機能が変化するために、以下のような症状が出やすくなります。これらは「病気の再発」ではなく、お腹の構造が変わったことによる生理的な反応で、胃切除後症候群(=胃切除後の後遺症)と呼ばれます。
  • ダンピング症候群:食べ物が急速に小腸へ流れ込むことで起こります。
    食後すぐ(早期):冷や汗、動悸、めまい、腹痛、下痢など
    食後2〜3時間(晩期):低血糖による脱力感、手指の震え、強い空腹感
  • 逆流性食道炎・胃炎:胃液や腸液(胆汁)が逆流し、胸やけや喉の苦み、みぞおちの痛みが出ることがあります。
  • 体重減少・栄養障害・貧血:一度に食べられる量が減るため、術後は数キロ程度体重が落ちます。また、鉄分やビタミンB12の吸収が低下し、数ヶ月〜数年経ってから貧血が起こることがあります。
    胃切除術後の後遺症は、食事の仕方である程度予防することができます。食べてはいけないものや飲み物はありませんが、食事は「ゆっくり・よく噛んで・少しずつ」することが重要です。
胃切除の手術をした後、どのくらいの入院期間が必要ですか。
手術方法や切除の範囲によって異なりますが、一般的には「手術前、1~3日程度」、「手術後1週間〜2週間程度」で退院となります。体への負担が少ない手術法や、早期回復を目指すプログラム(クリニカルパス)が普及しており、順調にいけば手術後7〜10日前後で退院できるケースが増えています。
退院の目安は日数よりも「ご自宅で安全に生活できる状態まで回復しているか」が基準となります。お食事がしっかり摂れている(おかゆなどの食事をよく噛んで食べられ、吐き気や強い腹痛がない)、ご自身で歩行や身の回りのことができる(トイレや着替え、院内の歩行が一人で安定して行える)、傷の痛みが飲み薬で抑えられている、発熱や傷口の感染、大きな合併症の兆候がないことを確認したら退院できます。
以下のような場合は、患者様とご家族の安心を第一に考え、入院を数日〜1週間程度延長することがあります。合併症の兆候が見られる場合には、一旦お食事を中止して、点滴やお薬での治療を優先します。ご高齢の方や、もともと体力が落ちていた方で、自宅での生活に不安がある場合、リハビリを十分に行ってから退院します。体力に自信がない場合には、一旦リハビリテーションのために他の病院に転院することもあります。お腹の動きの回復がゆっくりな方は、食事の進みを少しペースダウンして調整します。
胃切除の手術をした後、もとの仕事に復帰できますか。
基本的に多くの方がもとの仕事に復帰されています。ただし、退院直後は体力や体重の減少、食事の摂り方の変化があるため、「退院後すぐにフルタイムで働く」のではなく、お体の回復に合わせて段階的に復帰していくことが大切です。お仕事の内容や体力の回復スピードによって異なります。最初は「慣らし勤務」からスタートすることが大切です。「時短勤務」「週2〜3日勤務」「残業の免除」など、職場の理解を得ながら徐々にペースを戻していくのが、長く元気に働き続けるための近道です。
胃切除後に無理なく働くためには「食事のリズム」と「体力の配分」にコツが必要になります。
一度に食べられる量が減るため、勤務中もおにぎりやゼリー飲料、カステラなどの軽食を午前・午後の休憩にサッと口にできる工夫するなど「間食(分食)」を取りやすい環境を整えます。急な体調変化(ダンピング症候群)への対策も重要です。食後のだるさや冷や汗、食後2〜3時間後の低血糖(手指の震えやふらつき)に備え、飴やブドウ糖をポケットに常備しておくと安心です。